向きをくるりとすること

 

 最近,就活している。ひょっとしたら専攻内で一番就活している。サマーインターンシップというものがあって,その応募締め切りが今月中旬以降に集中していると聞いてから,とりあえず面白そうなところは片っ端からプレエントリーをかけている。筆記試験を受けに行くとか,説明会にちょろっと顔出すとか,そろそろある。既にフェータルな暑さなのにスーツ着なきゃいけない。でもそれ以外は結構楽しめそうな感じ。

 

 僕は研究者になることを前提に院進したので,就活に現を抜かすのは矛盾している気もする。しかし,なぜ研究者かと問われれば,望ましいライフスタイルがついてくるからであり,面白そうだからであった。この二点に関して上回る選択肢があれば,いつだって乗り換えるだけの柔軟性は持っていた。それが運のツキでした。

 

 要するに,社会に出れば,研究者よりも面白い仕事や望ましい生活サイクルがあると知ってしまったのだった。いやはや,この高度情報化社会においても,説得的な情報を捕まえるのは僻地じゃ難しい。生活の場を移したことによるメリットが,将来への考え方をくるりと変えてしまった。

 

 サマーインターンなんて別に行かなくても内定は取れるようだ。エッセンスを押さえる作業とブラフなら,間に合ってる。しかし,同一業界ならやってる仕事なんかだいたい同じで,そんな環境で一つしかない就職先を取捨選択していくプロセスを想定するに,現場の空気を知っていれば何かと便利かなぁと思うのです。

 

 

 ただっ広い研究室の蛍光灯を全部消して,眩しいMBAに向かい,傍らにはApple社のスマートフォンで,調べてまとめるだけの下らない課題をこなしながら僕は,表面の薄皮だけがだんだん変わっていくのでした。くるりくるりと。