梅霖を掻き分ける金槌

 

 シオかタレかの二択で話の7割が完了するような男と,原宿から表参道,渋谷までふらついた。気付けば梅雨で,傘の苦手な僕は常にしっとりしながら歩いた。吸湿,宛然シオのごとく。

 

 久々に,服とか文房具とか,文化的なものが載ってる経済を見た。僕が研究棟の最上階で椅子を揺らしている間にも,この経済があって,動いている。最近は狭窄していたようで,街が新鮮だった。新鮮ついでにペンのレフィルとノート2冊,それにブロックメモを贖ってしまった。抑圧されていて跳ね返りが大きくなりそうで,それを許せる給料日の翌日にも,適切な節度で投資をする。昔からそう。経済同様,そこにあるのは変わらない。

 

 そこそこ以上のイタ飯を会話の合間に食べ,日本酒をしこたま試飲し,カフェでラズベリーリッキーの蜜を吸い,HUBで仙台の野球を見ながら酒精を血に混ぜて。なんという文化的生活だろう。僕は意識あるうち意識の中を無意識に向かって泳げるその環境が好きだ。

 

 ちなみに,シオというべき所をタレと答えたせいで,一度はこの文化的土曜を失いかけた。択一はいつも難しい。